物理の計算問題が苦手という方は少なくありません。特に、複雑な公式や多様な物理量が組み合わさる問題では、混乱してしまいがちです。
例えば、質量m、時間t、重力加速度gなど、複数の物理量を適切に扱う力が求められます。そのうえで、よく間違える公式も出てくるため、苦手意識を持つ方が多いのも無理はありません。
しかし、「単位」に注目することで、物理の理解は格段に深まります。
この記事では、物理計算に役立つ単位の基本と考え方をご紹介します。
主な物理量の単位
MKSA単位系とは?
物理では「MKSA単位系」という基本の単位系が使われます。これは、長さ(m)、質量(kg)、時間(s)、電流(A)の頭文字をとったものです。
これら4つの基本単位を組み合わせることで、力やエネルギーなど、さまざまな物理量の単位が表現できます。(※1)
(※1)より広い「SI単位系」では、MKSAの4単位に加え、温度(K)、光度(cd)、物質量(mol)の3つが含まれます。これにより、全ての物理量を表現可能です。
単位で物理量を表してみよう
例えば、速さの単位は距離(m)÷時間(s)=m・s-1と表現できます。
電圧(V)は基本単位でないように見えますが、実は m2・kg・s-3・A-1 と表せます。以下は他の例です:
主な物理量の単位
- 質量密度ρ:m-2・kg
- 力(N):m・kg・s-2
- エネルギー(J):m2・kg・s-2
- 電気抵抗(Ω):m2・kg・s-3・A-2
- 磁束(Wb):m2・kg・s-2・A-1
このような単位は覚える必要はありませんが、単位が掛け算や割り算で構成されているということは理解しておきましょう。
公式と単位の関係
公式に迷ったら単位を確認!
物理の公式は複雑に感じることが多いですが、単位を意識するだけで正解に近づけることがあります。
単振り子の周期
周期の公式として、2π√(l/g)か2π√(g/l)かで迷うときは、単位に注目してみましょう。
lはm(メートル)、gはm・s-2なので、
- √(g/l) → 単位:s-1
- √(l/g) → 単位:s(秒)
周期は時間なので、2π√(l/g) が正しいとわかります。
速度の選択肢
速度を求める問題で、次の選択肢のどちらが正しいか迷ったとします:
- \( k・x^2 / m \)
- \( \sqrt{k・x^2 / m} \)
ばね定数kの単位は、力 ÷ 長さより kg・s-2 です。
\(k・x^2 / m\) の単位は m2・s-2、平方根を取るとm・s-1。速度の単位に合致するのは √(k・x^2 / m) です。
まとめ
単位の計算は最初は難しく思えるかもしれませんが、物理の理解とミス防止に役立つ強力な武器になります。
試験対策としても有効ですので、ぜひ活用してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!