集中力継続のためには?スポーツやヨガの観点からの身体的アプローチ

集中

学習はもちろん仕事や趣味でも、身につくスピードや身についたものの応用、素晴らしいパフォーマンスや正答率などに繋がるのが集中力です。

集中力にはタイプがあり、自分の行うこと、達成レベルや目的、そして自らの集中力の傾向にあわせて体調や環境を整えて最適化すれば、さらに学習や仕事や趣味の能率も、品質も向上しやすいことをご存知でしたか?

今回は、集中力そのものと、それを向上させる方法をご紹介していきます。

二種類の集中力

集中力には下記の2種類が存在していると言われています。

  • 「意識や生体レベルの持ち方や在り様」
  • 「続けて行えるかの持久力」

それぞれどの様なものなのでしょうか?

意識や生体レベルの持ち方や在り様

この集中力は、何かに入り込みあらゆることを常に意識を配ることによるものです。

このタイプの集中力が高ければ、例えば本を開いたときにその情報が飛び込んでくるように覚えられたり、野球を例に挙げれば飛んできたボールの芯がはっきり見えるのでヒットを打ちやすいなどの効果が表れやすいです。

周囲への観察眼や、暗記の際における集中力、成果物の細部に至るまでの完璧な仕上がりなどをもたらすのは、このタイプの集中力です。

これは瞬間的なものばかりではなく、一度没頭したらそのまま数時間持続できるケースもあります。

つまり、意識の集中を一定時間多方向に行えるかということを指します。

続けて行えるかの持久力

これは、一度打ち込み始めたものに対して継続して行える集中力のことです。

集中力というのは意思だけでコントロールできるものではありません。

例えば1日の中でたった5分程度、先ほど紹介したような高い意識レベルの集中力はあるものの、それを発揮できるのが1日を通して3回くらいしかない人もいます。

世界的に有名な技術者や様々な勝負の世界における天才と呼ばれる方達の中にも、このように集中力にムラがある人がいます。

またこの集中力には一度始めたものを毎日、1週間、1ヶ月…と継続して高い集中力で行えるかどうかも含まれますが、毎日意識して集中しようとしても、肉体的または精神的な何らかの理由で集中状態に入れないという方もいます。

集中力を向上させるためには、集中力のどんな面が強み・弱みなのかをしっかり分析し、対策を行うことが必要になります。

脳は疲れない!? 疲れているのは脳以外の部分!

集中力のキモは脳である、という話を耳にします。

例えば仕事や勉強をしていると脳が疲れたと言う人もいますし、実際にそう感じることもあるでしょう。

一般的にこのタイミングで感じる疲れは、脳を酷使すると同時に目やその他の筋肉などを酷使することでできた頭部のどこかの疲れであることが多いです。

あるいは、ものを考えたり判別するときに脳は頻繁に記憶とリフレッシュなどを繰り返しますが、それらの動作をするのに十分なエネルギーがない時だったり、作業効率の低下をカバーするために目の周辺をはじめとする、あらゆる筋肉の動きから来る複合的な頭部内部の疲れが原因だったりします。

疲れを感じたらどうしたらよいのか

疲れの根本は脳そのものではなく、脳を経由するあらゆる物質の移動やそこからの命令系統の調和の乱れから来る、身体の疲れです。

これを効率よく解決するには、交感神経と副交感神経の働きを高めるために刺激を与えればよく、例えばツボを押したり全身のストレッチなどが手間が少なく簡単に行えます。

あるいは脳のエネルギー源に変わりやすい糖類を摂取するのもよいでしょう。

その際は糖類を温かい飲み物として体内に取り入れると尚よいです。

また、エネルギーを循環させる血液の流れをよりよくするために、足裏の横や膝の下、脇の下、首の後ろ、腹部を温めると即効性があります。

身体や脳の1日の活動変異によっては、集中力が高まり持続しやすいこともある

日本代表やプロのスポーツ選手たちは試合でよい成績を残すために、短期的にも中長期的にも、集中力を最大にするためにあらゆる肉体的・精神的な調整方法を学ぶとともに、トレーナーやコーチ含めて周囲からもしっかり管理・バックアップされています。

スポーツと勉強では、集中すべき時間帯やその長さ、集中力の種類が違うという方もいますが、自らの体をコントロールして、最適な集中力を発揮するために気を付ける点は同じです。

その日やその週において、規則的な行動パターンとそれ以外のパターンを意識した運動や食事、急速の取り入れ方が集中力を高めます。

毎日規則的な生活を送っていれば、学業や仕事の集中すべき時間や、移動など運動の発生する時間にあわせて身体のリズムや体内の各器官の状態が最適化されてきます。

これは人の意思や動きで切り替えられる部分もあれば、脳が認識したパターンによって自然に獲得される身体と脳の統合的な慣れといった部分もあります。

そのためある程度の期間、事前の慣らし運転のような状態を確保することで、特別な日に合わせて最適化し直すこともできます。

集中力爆発

しかし少なくとも勉強において、例えばテストやテスト前の追い込み期は、試験日と同じようなリズムで生活することをメインに据えることが重要です。

一方で入眠障害や脳の疲れをテストの時間帯に感じてしまう場合は、間食を摂ったり軽いジョギングや体操などを意識的に取り入れることにより、体内時計を身体のエネルギー消費から修正することができます。

子供の頃の夏休みや冬休みの過ごし方ではありませんが、特にこのような集中力向上に必要なコンディションの修正は、1日のタイムスケジュールを分単位で記録して管理するのがおすすめです。

究極の集中状態を全身動作から得るための訓練としてのヨガ

ここまでのことを踏まえると、身体と精神、そして脳が、自らが活動する時間帯や取り組む作業の流れなどと調和することで集中状態に入れそうだな、と思えてきます。

しっかりと自らについて分析ができると、例えば学校や職場に到着してから授業や仕事が始まるまでの時間を逆算して少し早めに登校や出勤しておき、呼吸を整えて身体のコリを解きほぐしたり、軽い体操やジョギングなどを行ったり、飲み物や使い捨てカイロなどを使って体の一部分を温めたり冷やしたりする人もいます。

あるいは好きな音楽を聴いて、自分にとって集中状態に入りやすいルーティンを設けている方もいます。

しかしこれらの方法が効くかどうかは個人差がありますので、これらの方法が合わないと感じられる方は、故スティーブ・ジョブズをはじめ、世界の富豪や各界の天才たちが習慣としているヨガや、ヨガで実践されている呼吸の仕方や体のほぐし方などを取り入れてみるのもおすすめです。

ご存知の通りヨガは、身体の動きだけではなく、呼吸や瞑想などにより精神を整えるためにはとても効果的です。

 

ヨガと聞いて難しいポーズやゆっくりとした動きのものを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実はヨガの中には、「フロー」と呼ばれるプログラムがあります。

これは指導者の指示に沿い、流れるようにさまざまなヨガの基本動作を一定時間行っていくというものです。

全身運動や瞑想、呼吸などを含めて、数十分のプログラムのものが多くあります。

ヨガの中では比較的にテキパキと進行していくため、高揚感もありながらハードな運動にも感じつつ、独特で落ち着いた状態を得られます。

このフローではヨガ独自の理論で組み立てられた動作の順で、指導者の指示に沿って体の各部に刺激を与えることで高い集中状態に入りやすいのです。

医学の専門家の中にも、この考え方に近い立場の人も多い

この集中状態につながる考え方について、北海道大学医学部から慶応義塾大学医学部に進み、現在はスポーツドクターとして活躍されている辻秀一先生は、ヨガとは別の切り口から紹介しています。

辻先生の理論では、特別に高い集中力が発揮できる状態、すなわち究極の集中状態を「ゾーン」と呼んでいます。

またゾーンに到達するには、集中力が非常に高くなり活動に没頭できる「フロー」という状態にまず入る必要があると言います。

これは先述の、ヨガにおけるプログラムである「フロー」とは全くの別概念ですが、集中力を高めるという点では共通しています。

「ゾーン」の状態になるためには、以下を心がけて実践していく必要があります。

  1. 邪魔を排除
    これから行うことに対して、気が散る原因(道具不足や練習不足、環境など)を排除する。
  2. 好きなことを思い浮かべる
    自分が夢中になれるもの、夢を叶えるための理由などを思い描き、「フロー」状態する。
  3. 「フロー」から「ゾーン」へシフト
    「フロー」の状態を維持しながら、自身の行動におけるゴールまでのプロセスをしっかりイメージする。
  4. 集中
    目の前の事にのみ集中する。余計な思考をせず、落ち着いた心の状態のまま没頭すると「ゾーン」状態に入れる。

一流のプロスポーツのスタープレイヤーたちは、試合前に試合の流れや自分のプレイスタイルを何度も頭の中で思い描きます。

これにより、仮に試合で思い通りにいかなくなっても、そこから精神を持ち直せる強靭な精神が作られていきます。

また、「ゾーン」に入っている間は、モルヒネの6倍以上もの鎮痛作用があるといわれる覚醒物質β-エンドルフィンが放出され、精神的には落ち着きながら恍惚や快感の得つつ深い集中力のある状態になります。

 

この「フロー」から「ゾーン」に移るための一連のプロセスですが、脳の認知機能ライフスキル機能のバランスからもたらされています。

認知機能とは、例えば外界からの刺激(目の前に飛んできたボールや、急に出された鋭利なものなど)から身を守ったりする機能のことで、現代において人間は人混みの中で日常的に動くことが増え、五感があらゆる刺激に対して非常に敏感になり、脳自体が発達したことで備わりました。

そのため、発達しすぎた脳の機能によって、逆に集中力を得ることが難しくなった背景があります。

一方のライフスキル機能とは、意識を外界ではなく自分自身の内側に向け、自己を見つめ直してマインドや身体を制御しやすくするための働きです。

トレーニング次第ではライフスキルを鍛えると外部からの刺激に振り回されることが少なくなり、心を平常心に保ちやすくなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は集中力を向上させる方法やタイプ、また知っておくと身体をうまくコントロールできる、脳や心など関連した情報をご紹介しました。

ぜひ自分が望むタイミングで最高のパフォーマンスを発揮できるように、分析と実践をしてみてください。

よろしければこちらの記事でご紹介している集中方法についてもご覧ください。

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